【砂漠の星に見る夢】
ジェドは笑顔で振り返り、二人の元に駆け寄ってきた。
「母上、見てください! あれがピラミッドの土台です。どれだけ大きな物になるのか想像もつかないですよね」
興奮気味に語るジェドに、イシスは微笑みながら「そうね」と頷いた。
ジェドは上空で停止しているオシリスの船を見上げ、
「それにしても、あの船はなんでもできるんだなぁ」と感心の息をついた。
「そういえば、あの船は霧を起こすこともできたのよね。もしかしたらナイル川を氾濫させることもできるんじゃないのかしら?」
名案のように声を上げたイシスに、ヘムオンは苦笑を浮かべた。
「残念ですが、それはできないんです」
「そうよね。そんなことまではできないわよね」
馬鹿なことをいったと肩をすぼめたイシスに、ヘムオンは「いえ」と船を見上げた。
「やろうと思えばできることです。しかし人命に関わるほどの大きな自然を人工的に起こすことは、絶対にしてはいけないことなんです」
「どうして?」
「それは神の領域だからです。人が侵してはいけない領域に立ち入ると、必ず大きな報いを受けることになります」
そう言って真っ直ぐな眼を見せるヘムオンに、イシスは気圧されることを感じた。