【砂漠の星に見る夢】
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そうして翌日の完成式。


ギザには国内に留まらず海外からも多くの観光客が詰め掛け賑わいを見せていた。


ネフェルの帰還祭の時のように、祝いの飛行船が上空から薔薇の花びらを巻き、日中にも関わらず花火も打ちあがっていた。


街中ではピラミッドにちなんだ品々が店頭に並び浮かれた民衆は我先にと購入していた。


宮殿でもクフ王を始め、ほとんどの者がギザのピラミッドに向かった中、まだ宮殿内に残るイシスは、ヘムオンの姿を探していた。


「ヘムオン、ヘムオン?」


イシスが部屋に訪れると、ヘムオンは荷造りの手を休め、笑顔で振り返った。


「母上、どうされました?」


「完成式が始まるわよ、急いで」


といったあとヘムオンが荷造りしていたことに気付き、「どこかに行くの?」と戸惑いながら見上げた。


「ええ」


「そうね、7年間もずっとピラミッドに関わってきたのですものね。完成式が終わったら少し旅行にでも行くといいわ」


そう言ったイシスに、ヘムオンは苦笑を浮かべたあと、


「母上、完成式が終わったらオシリスの教会に来てもらえないでしょうか」


と真剣な表情を見せた。


そんな深刻な面持ちに戸惑いながらも、「ええ、分かったわ」とイシスは笑みを見せ、頷いていると二人の姿を探していた侍女・マヤが慌しく駆け寄ってきた。


「イシス様、ヘムオン様、もうこんなところで何やっているんですか! 馬車を用意ができましたので、すぐに完成式に向かいましょう」


そんなマヤに、二人は笑顔で頷いた。



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