【砂漠の星に見る夢】
ヘムオンはあまりの歓声に、隣に立つクフに対し申し訳なく思い、伺うように視線を送ると、クフは優しい笑みを浮かべていた。
「ヘムオン、後世に渡ってこのピラミッドは『クフ王のピラミッド』と語り継がれるだろう。だが、このピラミッドは『ヘムオンのピラミッド』だ。君のピラミッドだよ。素晴らしいピラミッドをありがとう、そしてこの国を救ってくれてありがとう」
クフはそう言って、ヘムオンの肩に手を乗せた。
「ファラオ」
ヘムオンは驚き目を開いたあと、すぐに跪いた。
「いいえ、ファラオ。このピラミッドを建造したのも、この国を救ったのもあなたです。あなたが王室の財産を惜しげもなく民衆に分け与え、この国を救ったのです。私はあなたの指示に従い動いただけの一介の家臣にすぎません」
そう告げたヘムオンに、クフは愉快そうに笑った。
「そなたは本当に賢い男だな。これからも側にいて力を貸してくれと言いたい。だが私はそなたのことを思い、逆のことを言う」
そう言って切なく目を細めたクフに、ヘムオンは察したように頷いた。
「存じております。ファラオに言われるまでもなく私は完成式を終えたら、この国を出るつもりでした」
クフは「申し訳ない」と目を伏せた。
「そなたは太陽信仰組織に命を狙われている。すでに不穏な動きがある。私の力では、そなたを守りきれそうにもない」
「ファラオにそう言っていただけるなんて、ありがたき幸せにございます。私は完成式を終えたあと神隠しのように姿を消します。どうか母上とジェドをお願い致します」
「―――ああ」とクフは強く頷いた。
そんな二人の会話も民衆の歓声にかき消されていた。