【砂漠の星に見る夢】
「す……すべてを許す?
では私がネフェルを死に至らしめた張本人だとしても、そなたはすべてを許せるのか? 嫉妬に狂うターナを言葉巧みに騙し、毒を与えたといっても、そなたは私を許せるのか?」
顔を歪ませながら試すようにそう訊ねたヘレスに、侍女達は驚いたように目を見開き、息を呑みながらイシスを見た。
イシスは切ない表情を浮かべながらも、しっかりとヘレスを見詰め返した。
「あなた様の所業であることは気付いていました。
しばらくはあなた様を憎み恨みつくしました。ですが、その度に死に間際のネフェルの姿が思い浮かぶのです。想像を絶する苦しみの中、死に至ったというのに、穏やかで優しい表情を浮かべたまま旅立ったネフェルの姿を……。
そんな彼を思い出しては、恨みや憎しみに身を焦がすことは彼の望むところではないと……すべては運命だったのだと思うようになりました」
「それで……そなたは私を恨んでいないと……?」
「ヘムオンの身を案じることはあっても、私はもう誰も恨んではいません」
「そなたは……」
ヘレスの独り言のような問いに、イシスはゆっくり頷いた。
「幸せだと……」
ヘレスはしばし沈黙したあと唇を噛み、身体を小刻みに震わせ、堪えきれなくなったようにイシスにしがみついた。