【砂漠の星に見る夢】
井戸を覗き込みゴクリと息を飲んで、その中に飛び込むと、次の瞬間、イシスは教会の中にいた。
―――相変わらず、不思議な感覚。
イシスは歯にかんだように笑い、顔を上げると、牛革の椅子に腰をかけていたヘムオンがゆっくり振り返った。
輝くような金髪に緑の瞳は、まるであの頃のネフェルのようだった。
『やぁ、待ってたよ』
そう言って、笑みを浮かべたネフェル。
「母上」
その言葉に、イシスはほんの一瞬だが心が引き戻され、ヘムオンの姿にかつてのネフェルを重ねて見たしまった自分に苦笑した。
そう、この子はネフェルじゃない。血はつながらなくとも愛しい息子・ヘムオンだ。
「素晴らしい完成式だったわね。本当に誇らしかったわ」
身体を起こして『母親』の笑顔を見せると、
「ありがとうございます」ヘムオンは嬉しそうに会釈をした。
「ここも久しぶりだわ」
グルリと見回しながらそう告げたイシスに、
「……ここに来てもらったのは、お別れを言うつもりでした」
とヘムオンは真っ直ぐな目を見せた。
「お別れを?」