【砂漠の星に見る夢】
「僕はこの国を離れます。もう戻っては来ないでしょう」
「ど、どうして?」
「このまま、ここにいても母上を悲しませるだけです。僕はなんらかの形でいつか暗殺されるでしょう」
穏やかにそう言うヘムオンに、イシスはマヤの言葉を思い起こした。
そう、太陽信仰は間違いなくヘムオンを消そうとするだろう。
「それに、この国での僕の役割は終わりました」
ヘムオンはゆっくり席を立ち、イシスを見下ろした。
「役割?」
「はい、ピラミッドを建造している7年の間、色々な知識と記憶を得て一つの結論に達しました」
「それじゃあ、前にいっていた謎が解けたのね?」
身を乗り出し訊ねるイシスに、ヘムオンは「はい」と頷いた。
「自分の存在理由、つまりオシリスの秘密が分かりました」
「オシリスの秘密?」
ヘムオンがコンピューターのキーを押すと、大モニターに北極星が映し出された。
「オシリスは……私達の先祖は北極星から移り住みました」
「……その話は前に聞いたことがあるけど、どうしてこの星に移り住む必要があったの?」
ヘムオンは北極星の画像に目を向け、切ない表情を浮かべた。