【砂漠の星に見る夢】

その言葉にイシスは目に涙を浮かべ、ヘムオンの手をしっかりとつかんだ。


「あなたは報いなんて受けないわ!
だってこの国を救ってくれたじゃない。あなたのお陰で多くの民衆の命が救われたのよ。あなたは多くの命を救ったのよ。あのピラミッドは自分の欲望のためではなく皆の為に建造したものでしょう?
人を救った歴史なら、どんなに変えられてもいいわ」


涙を流しながらそう訴えたイシスに、ヘムオンは微笑を浮かべた。


「ありがとうございます、女神にそう言って頂けるなら、僕はもしかしたら報いを受けずに済むかもしれません」


子供のようにイタズラな笑みを浮かべたヘムオンに、イシスは冷静さを取り戻し「ばかね」と肩をすぼめた。


「あなたはこれからどうするの?」


「そうですね、まず世界中にいるであろうオシリスの血を引く者を探し出し、仲間と共にこの星に持ち込んだ罪の象徴……高度な技術のすべてを封じ込めようと思います」


ヘムオンはそう言って思い出したように顔を上げた。


「ああ、母上に大切なお願いがありました」


「お願い?」


「クフ王のピラミッドに建造に関する事実の改ざんをお願いしたいのです。あのピラミッドがたった7年で完成したと言うことを後世に伝えたくはないのです。建造に関する事実をうやむやにして欲しいのです」


たった7年で完成したとなれば、後世にこの時代に高度な技術があったことを伝えてしまうことになる。


オシリスの痕跡のすべてを消すための大事な仕事なのだろう。


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