【砂漠の星に見る夢】

木陰ではラクダが気持ちよさそうに居眠りをし、子供たちが笑い声を上げて元気に駆け回る姿も見受けられた。


活気のある町の様子を楽しそうに眺めていると、イシスの姿を見かけた町の人々は、「やぁ、イシス」「相変わらず綺麗だね」と声をかける。


「ありがとう」


と笑顔を返すと服飾店の店員が「もっと華やかな服を着たら、更に美しくなるよ」と入荷されたばかりの赤いドレスを手に取った。


イシスは楽しそうに笑い「これ以上は罪だから、このままでいいわ」といって自分の白いシンプルなワンピースを指先でつまみ、皆に手を振る。


人々のファッションは男女共に暑さを凌ぐ白い服が主流だったが、近年外国ファッションも流行し、最近は黄色のワンピースや金に縁取られた赤いワンピースといった華やかな装いの女性の姿も多く見るようになっていたが、特に流行を追っていないイシスは今日のスタイル同様、腰の部分を紐で結んだ飾り気のない白いワンピースを着ていることが多かった。



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