【砂漠の星に見る夢】
「君の名は?」
「……イシス」
「これはすごい。女神の名とは」
「ええ、大層な名を親からもらいまして」
その名をつける恐れ多い者がいない為か『イシス』という名の女性はほとんど存在せず、イシスはバツが悪そうに苦笑する。
「君に相応しい名だ」
真顔でそう告げたネフェルに、イシスは小さく肩をすぼめ、皆と共に並んで立った。
その様子を伺っていた祭壇のファラオは、「あいつは、何を町娘と長話しているんだか」と愉快そうに笑い、
「下賎な町娘をお気に召したんじゃございませんこと?」
すぐに馬鹿にしたように告げたヘレスに、ファラオは苦笑し、その横でクフは無言でイシスの姿を見詰めていた。
……驚いた、なんて美しい町娘なんだろう。
真っ直ぐなストレートの黒髪に、ここから見ても輝くばかりの美しい蒼い瞳。
町にあんな娘がいたなんて。
クフはゴクリと息を呑み、イシスの姿を目で追い続けた。