【砂漠の星に見る夢】
ネフェルは舞台の上で腕や指にはめている装飾品をすべて取り外し、町娘達から受け取った花束と共に、民衆に向かって放った。
民衆は「わああ」と感激の声を上げ黄金の装飾品や花束に群がり、ネフェルはそんな民衆の笑顔を見て楽しそうに微笑み、そのまま家臣と共に赤い絨毯の上を颯爽と優雅に歩いて祭壇のファラオの元まで向かう。
皆が固唾を呑んで見守る中、ネフェルは祭壇の黄金の椅子に座るファラオを前に片膝を立てて跪く。
「お久し振りです、父上」
「うむ、立派になって。面を上げなさい」
愛しそうに目を細めてそう言うファラオに、ネフェルはゆっくり顔を上げた。
「外国で勉強し、必ずや私にその証を見せるといっていたそなただったが一体どのような証を見せてくれるのかな?」
試すように見据えたファラオに、ネフェルは強い眼差しを見せた。
「私の学んだことで、父上…いえ、ファラオに贈り物をしたいと思います」
「ほぉ、何を贈ってくれるというのだろう?」
と身を乗り出したファラオの横で、ヘレスがネフェルを見下ろして鼻で笑う。
「ファラオはこの世の全てを手に入れているお方、簡単な贈り物では喜びませんよ」
「この世のすべてを手に入れているファラオに相応しいピラミッドを建造して見せましょう」
真っ直ぐな目でハッキリとそう告げたネフェルに、ファラオはおろか二人の妻もクフも、そして民衆も仰天しどよめいた。