【砂漠の星に見る夢】
「――お呼びですか? 父上」
そう言って跪いたネフェルにファラオは、「おお」と声を漏らし、大臣の美しい娘を呼んだ。
「お前も16歳。そろそろ身を固めなさい。この娘は美しく気立てもよい。お前の妻に相応しいであろう?」
そう告げたファラオに、ネフェルは跪いたまま胸に手を当てる。
「お気遣い胸に余るほどですが、妻になる女性は自分で探したいと思います」
ハッキリとそう告げたネフェルに、ファラオは驚き目を見開き、周囲の者達も絶対的存在であるファラオからの申し出を断ったネフェルに仰天しざわめく。
しかし目に入れても痛くないほどかわいい第一王子の言葉にファラオは「まったくお前は」と半ば呆れたような笑みを浮かべ、
「第一王子であるお前の妻は王妃候補ということになる。私も気に入るような娘でなければならないぞ」
と試すような視線を送る。
「はい、16の誕生日までには父上も納得するだけの女性を連れて来ましょう」
ネフェルはそう言って熱い眼差しでファラオを見上げた。
「では、約束してもらえるかな? 十六の誕生日までに私が納得する娘を連れてこなかった場合、この大臣の娘と結婚することを」
「約束します」
「そなたがどんな娘を連れてくるのか、楽しみにしているぞ」
まるでゲームを楽しむように目尻を下げるファラオに、ネフェルは「はい」と頭を下げた。