【砂漠の星に見る夢】
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翌朝、イシスは黙々と身だしなみに力を注いでいた。


丁寧に髪を梳き、少しだが化粧を施し、ベッドの上にたくさんの服を並べて、悩んだ挙句、結局白地に金の縁取りの上品なドレスを選んだ。


そんなイシスの様子をこっそり観察していた両親は、


「もしかして、デートなのかい?」

と顔を出し、


「そこらの男とデートするくらいなら、花でも持って『神々の広場』に足を運びなさいな」


と捲したてる。


「うるさいわね、そんなんじゃないわよ」


と言い放ちつつも頬が紅潮することを感じ、それを隠すように早足で家を出て、約束の川岸に向かう。


歩きながら、胸が高鳴ることを感じていた。


やだもう、どうしてこんなにドキドキするんだろう。


自分自身に苦笑を浮かべつつズンズンと歩き、やがて川岸に着いたもののまだネフェルの姿はなく、イシスは拍子抜けしたように息をついた。



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