【砂漠の星に見る夢】
「このエメラルドはあなたの瞳によく似ててとっても綺麗。これなら喜ばれると思うわよ」
そう言ってチラリと値札見て、値段も相当なものだけどね、と顔を引きつらせながらも、でも王室のお妃様には、このくらいの物じゃなきゃ駄目よね、と頷く。
ネフェルはその高額のエメラルドのネックレスをいとも簡単に購入し、「さて、腹ごしらえをしよう! 美味しいお店があったら教えてくれよ」と、またイシスの手を引いた。
「それなら、広場のラム肉が美味しいわよ」
「いいね、ラム肉を片手にビールで乾杯しよう」
二人はそのまま笑い合いながら、『メンフィス広場』中央の屋外飲食店のテーブルにつき、その店自慢の羊のローストや鳩の丸焼き、パンと蜂蜜にナツメヤシの実を頼み、乳白色がかった琥珀色のエジプトビールで乾杯した。
そうして食事を終える頃になると、二人はより打ち解け、気がつくと常に笑い合っていた。
食事を終え広場を出たあと、ネフェルはイシスを連れて町外れの井戸に訪れた。
古い井戸を見下ろして、なぜこんな所に?とイシスは首を捻る。