【砂漠の星に見る夢】
「でも、提唱したのは真実なんでしょう?それが悪いことなの?」
ためらいがちに訊ねるイシスに、ネフェルは目を伏せた。
「太陽がなくなればこの星の住民は生きてはいけない。だから『神』でもあるんだよ。オシリスはそんな太陽を崇め、感謝している者たちの心を踏みにじるような真似をしたんだ」
ネフェルは重い息をつき、大きなモニターに目を向ける。
そうだったんだ……それが発端なんだ。
それから政治や権力が複雑に絡み合い、今の状態になったんだ。
「それじゃあ、オシリスは神の存在を信じていないの?」
思い立ったように顔を上げたイシスに、ネフェルは微笑んだ。
「信じているよ。科学を極めれば極めるほど、神の所業としか言いようのない奇跡を目の当たりにする。運命や因果や奇跡はすべて神の司るところだと思っているし」
ネフェルはそう呟き、胸元から紙を取り出して、デスクの上の光に乗せている。
「――何しているの?」
「僕が書いた設計書を機械に読み取らせているんだ」
機械が『ピピッ』と音を立てたことを確認し、「よし、これで完了」と頷く。
「オシリスってすごいのね……。学者の集まりですものね」
とイシスが呆然と呟いていると、
「本当は『オシリス』以外の人間をここに招き入れてはいけないんだ」
とネフェルは明るい口調でそう告げる。
「えっ?大丈夫?怒られないかしら?」
慌ててキョロキョロと室内を見回すイシスに、ネフェルは頬を緩ませる。