【砂漠の星に見る夢】
「その前に僕は君に謝らなければならない。一つ嘘をついたんだ」
「嘘?」
どんな?とイシスは眉を顰めて、ネフェルを見やる。
ネフェルは無言で宝石店で買ったエメラルドのネックレスを取り出し、イシスの首につけた。
「――――えっ?」
驚き目を開くイシスに、ネフェルは優しい笑顔を浮かべる。
「これは母へのプレゼントじゃない。君へのプレゼントなんだ」
その言葉にイシスは仰天し「だ、駄目よ、こんな高価な物、受け取れないわ」とネックレスを外そうとするも、
「受け取っていてほしい。それは僕の気持ちだから」
そう言って優しく微笑む美しいネフェルの姿に、イシスの鼓動は強くなった。
「さ、さすが王室きっての美形王子は女を喜ばすことが上手ね」
自分の気持ちを隠すように強がった視線を見せたイシスに、ネフェルは目を丸くしたあと愉快そうに目を細める。
「14の時にこの国を出たのはヘレス第二王妃から逃げたと世間には思われているようだけど、そうではないんだ。僕が国を出たのは世界を見たかったからなんだ。世界中を見て回って、そして見つけたかったんだ」
「なにを?」
「僕の妻になる人を」
そう言って真剣な眼差し見せたネフェルに、イシスの鼓動がバクンと跳ねた。