【砂漠の星に見る夢】
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そうして始まったピラミッド建造は、滞りなく進行して行った。


民衆は空飛ぶ船が放つ不思議な光によって軽くなった巨石を運び、光が指示した場所に正確に置くことによって、みるみる積み上がっていたのだった。


しかしピラミッド建造も中盤まで差し掛かった頃、その形が歪んでいることにイシスは気付いた。


ダハシュールの広大な砂漠に建造されつつあるピラミッドを眺めながら、眉をひそめ、


「ねぇ、ネフェル。なんだかあのピラミッド歪んでいると思わない?」


と現場に姿を現したネフェルの元に駆け寄りそう声を上げると、「ああ」と弱ったように額に手を当てた。


「僕も気付いてたよ。おっかしいなぁ、計算ミスでもしたかな?」


参ったなぁ、と漏らすネフェルに、計算が大事だと言っていた言葉を思い出し、イシスは胸が騒ぐことを感じた。


そんな二人の元に工事責任者の男が駆け寄り、


「ネフェル様、この調子で行くと予定よりも早く完成しそうですよ」


と嬉しそうな声を上げた。


「そうか」と頷き、ネフェル少し考えるように腕を組んだ。


「イシス、船の中に付き合ってくれないか?」


そう言ってネフェルはイシスの手を引き、船へと向かった。



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