彼氏くんと彼女さんの事情
「あたしが春川くんのこと好きだって言ってたの、知ってるよね?」
ギロッと私を睨む。威圧が恐い。
しかし私も負けじと見返す。
「うん、……でも私だって好きだったし」
そう言うと高倉さんは、「はぁ?」と苛ついたような声。
「あんたあたしにそんなこと言ってなかったじゃん。あたしが好きなの知ってて何も言わずに付き合ってるとか、最低じゃない?」
「ほんと、ミエかわいそ」
高倉さんの言葉に一緒にいた女子が便乗する。
ミエとは高倉さんの事だ。
「………」
私は視線を逸らした。
そりゃあ、知らない間に付き合っちゃったのは悪かったけど。
別に、わざわざ好きな人報告しあうほどの仲じゃなかったじゃん。
それに、高倉さんから春川くんのこと好きなこと聞いたの、何ヵ月も前だし。
と、心の中で言い返す。
「何か言いなよ」
無言で地面と睨めっこしていたら、高倉さんの横にいる女子が静かに言った。
しかし言い返してもどうせ倍に返されると思ったので、私はだんまりを決め込む。