愛恋歌-tinkle tone-


それからしばらくして彰はホテルを出ていった。

一人になって閑散とする部屋…

私は机に置かれた5000円札を見つめた。
「残りは出しといて」と彰が置いて行ったものだ。


あんな紙切れ一枚で部屋を借りて、決められた時間内で好きでもない相手と身体を重ねて満足する。




 はぁ…


何だか虚しくなって溜め息が漏れた。



 ~♪~♪~♪

シンッと静まりかえる室内に突如うるさい程の着メロが鳴り響く。



「彰だ…」

サブ画面に表示される名前を見ながら携帯を開く。


==========
From:彰
Sub:non title
 今日も気持ち
 よかったぜ

 またよろしくな
==========




「………」



パタン…

もう一度溜め息が漏れそうになるのを抑えながら、何も返事することなくそのまま携帯を閉じた。


そしてシャワーを浴びて精算を済ませると一人ホテルを後にした。

< 16 / 38 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop