愛恋歌-tinkle tone-
雨と仔犬
ザァー…
ザァー…
「………はぁ」
外に出て、結局もう一度溜め息が漏れた。
あり得ない。
何この雨…
ザーザーと激しい音を立てて地面を叩きつけている。
気落ちした気分がさらに気落ちしていく…
止む気配はなく、バッグの中から折りたたみ傘を出して、狭い空間にその身をおさめた。
よかった…
もしものときと思い傘は常にバッグに入れていたから。
だけど歩き出して後悔した。
傘の意味なんてほとんどなかったから…
叩きつける雨は跳ね返って容赦なく足を濡らすし、濡れないようにと気を付けても小さな傘では腕や肩を完全に隠すことはできなかった。
もう少し止むまで待ってればよかった…
だけど雨の中に飛び出したからには仕方ない。
歩く度に水が跳ねながらも、とにかく駅までの道のりを急いだ。