理想恋愛屋
「よ、よーし、そこまでいうなら……っ」
オレだって一人前のオトコだ、やるときはやる!
ゴクリとつばを一気に飲み込んで、睨んでくる彼女の肩をがしっと掴む。
じっと見つめ合うこと、数秒。
「ちょ、ちょっと……目、つぶって……」
いざ目の前にすると、弱気になってしまう。
素直に瞼を閉じた彼女の頬はほのかに薄桃色に見えて、可愛らしいところもあるのか、なんて考えは慌てて捨てる。
ど、どどど、どうしよおおおおっ!!
過去に彼女と面と向かって見つめあったことなんて何度とあるはずのに。
どうして今日に限って、こんなにも緊張しなくてはならないのか!
形の良い唇は柔らかそうに薄紅色を帯び、きゅっと結ばれている。
こんな押し問答で触れていい代物ではないはずなのに。
いや、オレもあんなこと言われた手前、易々と引っ込むわけにもいかない。
己と必死に戦いつつ、ゴクリとつばを飲み込んで。
蟻が進むほどの速さで詰める、彼女との間合い。
微かに、交わる……小さな吐息──……
.
オレだって一人前のオトコだ、やるときはやる!
ゴクリとつばを一気に飲み込んで、睨んでくる彼女の肩をがしっと掴む。
じっと見つめ合うこと、数秒。
「ちょ、ちょっと……目、つぶって……」
いざ目の前にすると、弱気になってしまう。
素直に瞼を閉じた彼女の頬はほのかに薄桃色に見えて、可愛らしいところもあるのか、なんて考えは慌てて捨てる。
ど、どどど、どうしよおおおおっ!!
過去に彼女と面と向かって見つめあったことなんて何度とあるはずのに。
どうして今日に限って、こんなにも緊張しなくてはならないのか!
形の良い唇は柔らかそうに薄紅色を帯び、きゅっと結ばれている。
こんな押し問答で触れていい代物ではないはずなのに。
いや、オレもあんなこと言われた手前、易々と引っ込むわけにもいかない。
己と必死に戦いつつ、ゴクリとつばを飲み込んで。
蟻が進むほどの速さで詰める、彼女との間合い。
微かに、交わる……小さな吐息──……
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