似非恋愛 +えせらぶ+

「おい、下世話なこと訊くなよ、香璃」
「そうね。お似合いの2人だものね」

 私の言葉に、みあがさらに気まずそうな顔をした。ますます2人の関係が気になったが、これ以上みあを困らせるのは本意ではない。

 気を取り直したように、みあは斗真にメニューを差し出した。

「それじゃあ、後石さんは何を飲まれますか」
「あ、俺はウーロンハイで……えっと」
「佐川みあです。よろしくお願いします」

 みあが店員を呼んでオーダーする。氷田君には訊かなかったところをみると、彼が飲むものは知っているらしい。
 しばらくして、飲み物が運ばれてきた。

「じゃあ、この、奇跡のような再会に」

 斗真が気障たらしく、そんなことを言う。

「乾杯」

 4人の声が揃い、杯を鳴らした。

 奇跡のような、再会……か。

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