似非恋愛 +えせらぶ+
私は梅酒に口をつける。さすがに飲みすぎたのか、斗真との再会に身体が驚いたのか、酔いが回ってきていた。
逆に斗真は、酔いが覚めたようだった。
「陣は、後石さんと飲んでたの?」
「え、うん」
みあが氷田君に訊ねると、氷田君は言いにくそうに言葉を濁した。
「そう、付き合ってた女に俺が振られたから、そのヤケ酒に付き合ってもらってた」
そんな氷田君の代わりに、斗真がみあの問いに答える。斗真の言葉に、みあも私も目を丸くした。
「え、斗真も……振られたの?」
「斗真もって……」
斗真が訝しげに私を見る。
私はおかしくなって、笑ってしまった。
さっきまでの悲壮感漂っていた気持ちが嘘のように、この状況がおかしくなってしまった。
「何を隠そう、私も彼氏に振られてヤケ酒中なの」
「香璃も?」
同じように、斗真が面白そうに笑う。この、自信満々な笑い方は昔と変わっていない。