似非恋愛 +えせらぶ+
CGとは思えないドラゴン達や魔法のエフェクトは素晴らしかった。
私も斗真も、食い入るようにスクリーンに見入っていた。音響効果も相まって、臨場感がすごい。
森の中に逃げ込んだ王女は、自国の民のことを想いながら、自分の国を取り戻すために戦うことを決意する。彼女には人ではない生き物達と心を通わす力があり、森に住まう人あらざる者達に力を借りる。徐々に仲間を増やしていく王女だったが、兄の裏切りに心を痛める幼馴染は、ある日王女の前から姿を消してしまう。
懸命にあがく王女と、彼女を支える人間じゃない者達。国では、王女は死んだと告げられ、国民たちは悲哀にくれている。
そんな人間達の心の機微が描かれていて、ただのアクションファンタジーではなかった。
感情移入をしてしまい、固唾をのんで見守る。
一番気になったのは、王女と幼馴染の騎士の関係だった。幼いころから一緒に育った2人が想い合い、成長していく。そして、王女のもとを去る騎士。私はどこか、斗真と自分を重ねていたのかもしれない。
味方を増やした彼女は、とうとう暗黒ドラゴンの長と取引をする。自分は死ぬかもしれないと、騎士のことを想いながら。
しかし暗黒ドラゴンとの駆け引きは、意外にも王女の優勢だった。しかしそこに幼馴染の兄が現れ、暗黒ドラゴンを口車に乗せてしまう。そして追い込まれる王女。絶体絶命かと思われたその時、颯爽と現れた騎士が、実の兄を倒す。
その後、暗黒ドラゴンの説得に成功し、王女は国民たちの歓喜の声と共に、仲間達を引き連れ王国に戻るのだが、幼馴染の騎士は身内の罪のために去ろうとする。それを王女が引き止めて、一緒に暮らしてほしいと懇願する。
そうして、またぼろぼろになってしまった王国の再建のため奮闘するというストーリーだった。