似非恋愛 +えせらぶ+
飛び出してきた拓弥を斗真が肩車した。拓弥はかなりはしゃいで、斗真の髪の毛をおもちゃにしているが、斗真は怒らない。意外に面倒見が良いみたいで、ちょっと暖かい気持ちになる。
「ただいま」
「おかえりなさい」
中から随分にぎやかな声が聞こえてくるから、大きめの声で呼びかけると、皆の迎える声が聞こえてきた。
リビングのには、斗真のご両親とうちの両親、由宇とジョージさん、そして由紀がいた。
「香璃ちゃん、おめでとう!」
斗真のお母さん、おばさんが私を見た瞬間、抱きしめて頬にキスをしてくれる。
「お久しぶりです」
「本当に綺麗になったわね、でも、舞子さんから貴方達が付き合っているという手紙をいただいてから、ずっと連絡を待っていたのよ。うちのバカ息子ったら、全然連絡をよこさないんだから!」
舞子はうちの母の名前だ。
まさか、前に会ったときはちゃんと付き合っていなかっただなんて、口が裂けても言えない。
「でも、香璃、貴女怪我はもう大丈夫なの?」
「うん、傷も綺麗になくなるって、お医者さんが」
あの事件で結局、真治は傷害罪で刑務所に入ることになった。そのことを考えると、気が滅入る。