似非恋愛 +えせらぶ+
『なっ……』
「香璃が迷惑がってる。じゃあ」
私は目を丸くして斗真を見ていた。そして、電話を返してくる斗真に、思わず笑ってしまった。
「ふふっ」
笑ったとたんに、涙がこぼれた。
「……ありがとう」
斗真が私の頭をなでる。私は、斗真の首に縋りついて泣いた。
その間ずっと、斗真は私を優しく見守っていてくれていた。
* * *
しばらく泣いた後、私は斗真から離れて涙をぬぐった。
「ごめんね、私、斗真の前で泣いてばっかり……」
「香璃、お前、俺に謝ってばっかりだな」