似非恋愛 +えせらぶ+

「まさか……?」
「違うっ」

 私は思い切り机をたたいていた。顔が、熱い。

 あの頃の私は、真治のことだけが好きで、真治のことしか考えていなかった。
 真治との幸せな結婚生活を夢見て、真治に似た子ができたらいいと考えていた。

 そのために、必死に働いて、お金をためていたんだ……。

 それを……、浮気を疑われるなんて、心外だった。

「私は貴方とは違う。貴方を裏切ってなんかいなかった。結婚だって、考えてた。貴方のことが、好きだった」

 まくしたてるように、私は告げた。

「……ごめん」

 真治がすぐに謝った。

「私……、今は彼と付き合ってる」

 私と斗真は付き合ってる、ふりをしている。
 斗真、ごめん、今は嘘をつかせて。

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