似非恋愛 +えせらぶ+

 だって、私達は偽物の恋愛関係にあるのだから。
 どちらかが本当の恋愛を始めたら、終わる関係なのだから。

 そう思った瞬間、脳裏にみあの心配そうな顔が浮かんだ。
 ごめんね、みあ。私、貴女みたいに強くなれそうにない。

「ま、結局、お前に電話ばっかりしてたから呆れられて帰られたけどな」

 斗真が肩をすくめてそう言った。

「責任とって慰めてくれよ」
「私も、慰めて」

 私は斗真の顔を見た。真っ直ぐ、瞳を見つめて。

「偶然真治に会ったの。よりを戻したいって言われた」
「……元彼?」
「そう」

 斗真が、驚いたように私を見つめ返す。

「それで……より戻すのか?」
「……わからない。考えさせてって、言ってきた」

 そんな話をしているうちに、チャーハンを食べ終わる。

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