似非恋愛 +えせらぶ+
「ん、美味しい」
「何してたんだ、さっき」
心していたのに、突然訊かれて反応できなかった。
「会社、待ってただろ」
私の髪の毛を触りながら、斗真が訊く。恐る恐るその顔を見ると、純粋に疑問に感じているようだった。
私はチャーハンを咀嚼して、飲みこむと口を開いた。
「斗真に会いに行ったの。斗真、あんまり連絡くれないから」
「そしたらなんで逃げたんだよ。電話にも出ねぇし」
斗真が人差し指で私の頬をさす。それが子供っぽくて、笑ってしまった。
「だって、女の子と一緒にいたから。邪魔しちゃ悪いでしょう?」
強がって、そう言う。
私は斗真の恋愛の邪魔をしないと、そうアピールする。