赤い月
膝を落として、コンクリートの床に座り込み、愛しい人を強く抱きしめた。
やっと…
「捕まえた…」
華奢な肩に顔を埋めると、彼女の香りに包まれた。
柔らかい髪の感触が、頬をくすぐる。
「そなた、血が…
愚かな事を…」
「んー?
右手にだけ、ガッチガチに結界張ってたの。
全身をプロテクトしても君の呪を破れるとは思えないから、一部分だけでも動かせて痛い思いでもすりゃ、呪が解けるかなーって。
アホなりに学習したでショ?」
「…いや、己を傷つけるとは、ますます阿呆じゃ。
放せ。」
想像していたよりもずっと小さく折れそうな肢体が、腕の中で身を捩る。
景時のケガを気遣うようなささやかな抵抗までも、愛しくてしょうがない。