赤い月

縋るように掻き抱いて頬を寄せ、彼女の耳元で低く囁く。


「不確かな未来が理由なら、絶対、放さない。
俺は、今、君の傍にいたい。」


時が止まったような静けさ。

不規則に重なる二つの鼓動と月の光しか、この世に存在しないのではないかと錯覚してしまいそうだ。

今、地球が滅びましたよ☆とか言われても、それはそれで悔いはないカモ…などと景時が満たされた気分で目を閉じていると、不意に華奢な躰から力が抜け、しなやかな筋肉のついた腕に委ねられた。

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