赤い月
「人など、儚い。
人など、脆い。
愛しても憎んでも、ひと夜の夢。」
夢の中にいるかのような頼りなげな小さな声が、腕の中からダイレクトに景時の胸に響く。
「だが…
だからこそ人は『今』と言う刹那の時を、足掻き、もがき、懸命に生きる。
…
人とは、かくも愛おしきものであったな。」
柔らかく胸を押されて景時が少し身を離すと、至近距離で視線が絡み合った。
途端に景時の心臓は暴れだす。
息が苦しい。
身体中の細胞が燃えるように熱い。
コレが人体発火ってヤツ?
もうすぐ、焼死。
現在、瀕死。
なのに、ルビーの瞳から目を逸らせない。
その瞳に映る自分の姿に、彼女が誰かの影を重ねているとしても…