大人的恋愛事情 SS
よくわからず視線を戻すと、隣に座る近い距離の男が少し悪戯な声を出した。
「酔ってる時の繭は、マジで気持ちいいぞ?」
「なによそれ」
そう返した私に手を伸ばし引き寄せ、先ほど欲情した唇が私の唇に触れた。
グラスがテーブルに置かれる音がして、シャンパンの香りが漂うキスが深くなると、押さえきれない欲情が湧きあがり、思わず藤井祥悟に擦り寄るようにしてキスをねだる。
肩にあった腕が腰に回り、それを引き寄せられるのでさらに近くなる距離。
いつもとは違う、幻想的なオレンジの灯りが、何故か私を大胆にして。
ソファに凭れて座る藤井祥悟の上に跨るようにして、座りながらキスを繰り返す。
一度離されるキスに、私の視線は名残惜しくその唇を追いかける。
そんな私の視線に気づく藤井祥悟の薄く形のいい口角が僅かに上がった。
「明日買い物に行こう」
「……うん」