紺碧の海 金色の砂漠
舞はグトラの下に隠れた濃いブラウンの髪に手を添え、そっと口づけた。

 
「これだけか?」

「え? だって……昨夜のキスって」


こんなもんだったんじゃ、と舞が言おうとしたときだった。

舞の身体は砂浜にストンと下ろされ、直後、掬い上げるように唇を奪われた。息苦しいほど乱暴に口の中を蹂躙され、舞は思わず抗議の声を上げたくなる。


「ちょ、ちょっと……アル!?」

「王である私を欲情させ、さっさと眠ってしまった罰だ」


(よ、よくじょうって、わたしってば何したのっ!?)


言われても全然思い出せない。

ただ、そう言えば


「アルが来てくれるのを待ってたんだからねっ。なんで、レイ国王より早く来てくれないのよぉ。海でも砂漠でも、誰にも負けちゃヤダ。アルは世界一の王様なんだから。世界で一番のわたしだけのヒーローなんだからぁ」


とかなんとか、半分寝ながら叫んでいた気はする。

でも、あんな台詞で欲情はしないんじゃない? と舞が笑いながら言うと。


「キスした後、私の膝に乗り、しなだれ掛かりながらあの台詞を言ったのだぞ。それも、臀部で私の股間を刺激しつつ……さらには、柔らかな手の平で私の裸の胸元を撫で擦った! ヴィラに到着したとき、私はすっかりそのつもりであった。それを……」


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