紺碧の海 金色の砂漠
クアルンの首都ダリャでの戴冠式前後、『日本の血を引く王を認めない』『日本人王妃に血の制裁を』そんなビラが大量に撒かれた。
ミシュアルはあえて国を離れ、前国王の権力が及ぶうちに、それらを利用して反日組織の一掃を計画したのだ。
ラシードを旗印とし、実質的にはターヒルに指揮を命じた。前国王にも、王族の中から協力者を選んでもらったのである。
一方、ヤイーシュは部族長《シーク》を続けながら、側近に戻ることになり、最初に命じたのが日本での仕事だった。
前王妃ヌール妃はひとり娘であったが両親……ミシュアルにとっては祖父母が存命だ。舞にも両親と弟がいる。それ以上の遠縁にまで害は及ぶまいが、近親は充分に危険だ。
だが、現状で一番危険なのは舞であろう。
(そのために、このアズウォルドを選んだのだ)
周囲二千キロ四方を海に囲まれた、自然の要塞とも言えるアズウォルド王国。
典型的なランドパワー国家のクアルンに対して、敵対するには不慣れとも言えるシーパワー国家だ。
しかも、敵対勢力はそれほど大きなものではない。舞をクアルンから引き離すだけで充分なはずであった。
そして四日前、舞に塗料を投げつけ、ビラを撒いたとされる反日組織が根こそぎ逮捕された。
ターヒルから『お帰りをお待ちしております』と連絡を受け、ヤイーシュも二~三日様子を見てからクアルンに帰国すると言っていた。
だからこそ、セルリアン島のリゾート・スパで心ゆくまでハネムーンを楽しんでいたのだが……。
ミシュアルはあえて国を離れ、前国王の権力が及ぶうちに、それらを利用して反日組織の一掃を計画したのだ。
ラシードを旗印とし、実質的にはターヒルに指揮を命じた。前国王にも、王族の中から協力者を選んでもらったのである。
一方、ヤイーシュは部族長《シーク》を続けながら、側近に戻ることになり、最初に命じたのが日本での仕事だった。
前王妃ヌール妃はひとり娘であったが両親……ミシュアルにとっては祖父母が存命だ。舞にも両親と弟がいる。それ以上の遠縁にまで害は及ぶまいが、近親は充分に危険だ。
だが、現状で一番危険なのは舞であろう。
(そのために、このアズウォルドを選んだのだ)
周囲二千キロ四方を海に囲まれた、自然の要塞とも言えるアズウォルド王国。
典型的なランドパワー国家のクアルンに対して、敵対するには不慣れとも言えるシーパワー国家だ。
しかも、敵対勢力はそれほど大きなものではない。舞をクアルンから引き離すだけで充分なはずであった。
そして四日前、舞に塗料を投げつけ、ビラを撒いたとされる反日組織が根こそぎ逮捕された。
ターヒルから『お帰りをお待ちしております』と連絡を受け、ヤイーシュも二~三日様子を見てからクアルンに帰国すると言っていた。
だからこそ、セルリアン島のリゾート・スパで心ゆくまでハネムーンを楽しんでいたのだが……。