愛と欲望の螺旋(仮)
少し驚いた顔をしたけど、すぐにクスッと笑って。
「別に、これで買収するつもりはありません。お友達に差し上げる物ですから。」
そう言ってもう一度、突き返した缶を泉希の目の前に置いた。
「ありがとうございます!!」
泉希が元気よく、ニッコリと笑って缶を受け取った。
「泉希!!」
眉をゆがめながら泉希をにらんだけど。
もう、缶のプルタブは開けられてしまった。
「それと…泉希さんでしたよね?これを渡しておきます。」
そう言いながら、泉希の目の前にスーツの内ポケットから出した名刺を差し出した。
「え!?」
驚いたのは私だけじゃなくて。
声を出して驚いていたのは泉希の方。
「宝条さんの気が変わって、お話だけでもさせていただけるなら、ここに連絡してください。」
「どうして、あたしなんですか?」
名刺を受取りながら、泉希は目を丸くした。