愛と欲望の螺旋(仮)
「お二人で聞いてほしいんです。」
「お二人?」
「噂では、美人2人組が同人作家をしているって聞きました。自分がスカウトしたいのは、宝条さんだけじゃなく、泉希さんもご一緒なんですよ?」
優しい微笑みは泉希だけじゃなく、私にも向けられた。
「分かりました。いちよう、お預かりしますね?」
そう言いながら、泉希はニッコリと笑いながら名刺を受取ってしまった。
「連絡お待ちしています。」
軽くおじぎをすると、黒崎は人ごみに紛れ込むかのように消えてしまった。
「美人2人組だって。」
口元をゆるませながら、イスに座った泉希。
確かに、泉希は美人っていうより、可愛いいの方がピッタリくる。
身長は154cmしかないけど。
メロン巨乳のスレンダーは、グラビアアイドル顔負け。
しかも、ロリ顔だから。
オタク受けは半端じゃない。
「泉希だけ華組に入ったら?」
呆れながらため息をつくと、イスに座ってほおづえをついた。
「ヤダ!!1人はムリ。」
さっきまで緩んでいた口元は、歪んだ眉に一瞬で変わった。
「どうして?」
「だって、女の世界でイジメは普通だし、なんか何かを勉強するために、自衛隊やら宝塚やらに実習名目で行かされるらしいよ?」
まるで怪談話でもするかのように、怖い表情を私の顔にグッと近づけた。
その顔に、思わず身を引いてしまう。