愛と欲望の螺旋(仮)
爽やかそうで、そんなことはしなさそうな雰囲気は、警戒心のシャッターを開けさせるためで。
本当は、狼だった!?
みるみると引きつる顔。
なのに、黒崎は優しい顔のまま。
「誤解しないで下さい。一度、見ていただきたいと思って。」
私の引きつる顔から想像できたみたいで。
柔らかくほほ笑みながら、車を止めた。
「この状況で、警戒しない方がおかしいです!!」
慌てて車から逃げ出そうとした時だった。
「黒崎。遅くなっちゃったわね。」
そう言いながら小走りに髪の長いスーツ姿の女の人が、地下の入り口から車の方に走ってきた。
「大丈夫。今、着いたところだから。」
そう言いながら黒崎は車から出ると、助手席のドアを開けた。
一体、何が起こっているのか分からなくて。
黒崎と女の人の顔を交互に見た。