愛と欲望の螺旋(仮)
「華組の編集の契約期限が切れたら、延長なさるかどうか。今後の事は相談させていただきますが、華組には絶対に入れません。」
ハッキリと言ったその顔が。
いつもの柔らかくて優しい面持ちなんかじゃなくて。
初めて見た。
黒崎の真剣な面持ちに、どこかにあった不安が安心にも似た感情に変わり始めた。
「…本当に、編集者としての契約ですね?」
念のために、もう一度確認した。
「はい。」
ゆっくりとうなずいた。
テーブルの上の契約書を手に取って、もう一度、確認した。
本当に、バーンブルーの華組の編集者としての契約書に間違いはない。
ここで働いたら、出版業界とも繋がれる。
そこでコネをつかんで。
半年後には、本当に漫画編集者になれる。
このチャンスつかむしかない。
フウッとひと呼吸すると。
「…分かりました。」
まっすぐに黒崎の顔を見た。