愛と欲望の螺旋(仮)
「本当ですか!?」
まさかの返答だったみたいで、目を丸くしながら驚いている。
「はい。それでいいなら…契約します。」
少し緩んだ口元は、ワナがないって安心したから。
「では、ここにサインと…印鑑をお持ちですか?」
そう言いながら、3枚の契約書の記入欄を指差した。
「持っています。」
バックの中から持っていた印鑑を出すと、指差された所に名前を書いて印鑑を押した。
「では、今日からよろしくお願いします。」
黒崎の顔は、いつもの優しい面持ちに変わった。
「え!?今日からですか?」
いきなりそんな。
私にも準備ってものがあるのに。
眉をゆがませたけど。
「宝条さん、ホームレスですから。危ないので今日からここに住んでください。必要な物は用意してありますし、足りなければ藤原に申し付けてください。」
あ…
そっか。
断りたくて、ホームレスなんて嘘をついたのをすっかり忘れていた。
今さら…ウソですなんて。
言える雰囲気じゃなさそうだし。