愛と欲望の螺旋(仮)
「楽しいって…帰って来ませんけど?」
どこに行ったかは知らないけど。
気を使ってどこかの女の所にでも行ったんでしょ!?
藤原さんは知らないのかな?
「帰って来ない?」
少し驚いたかのように、眉をほんの少しだけゆがませた。
「はい。最初の夜も、じゃあ、ゆっくりしてって言って、どこかに行ったまま帰って来ませんけど?」
「へぇ…そうだったの。」
思考回路を巡らせるかのように、ゆっくりと口を開いた。
藤原さん、きっとどこの女か考えているんだ。
ホント、女に不自由してないんだ。
…むしろ、多すぎてドロドロな感じなのかな?
考えても私には関係ないこと。
「では、失礼します。」
軽くおじぎをすると、さっき止まった足を動かした。
「ああ…気を付けて帰ってね。」
それだ言うと、何事もなかったかのように、伝票を書く手をもう一度動かした。