愛と欲望の螺旋(仮)
電車に揺られること10分。
箱は小さいけど、結構、中身は重たくて。
寮に帰って来たときには、フウッと大きく息を吐いた。
「さて、まずは、データを見て見ますか。」
段ボールを開けると無造作にファイルとデータを取り出して、パソコンにデータを開いた。
「えっと…桃野瀬(もものせ)…桃野瀬…」
ブツブツとつぶやきながら、分厚いファイルの中から作品データの作者の審査用書類を探し出す。
添付されている写真を見て、力いっぱい眉がゆがむ。
ほ…細い。
細くてスラッとした感じの髪の長い女の子。
この子…
どこかで見たことがあるような?
必死に思考回路を巡らせる。
気のせい?
一瞬、思ったけど。
でも、絶対にどこかで見たことがある。
派遣で行ってたどこかの会社の子かな?
……あっ!!