愛と欲望の螺旋(仮)

この人、私を知らない!!


誰かと勘違いしている!!


「勘違いです!!!」


自分でも、どこからこんな力が出て来たのか分からない。


力いっぱい男の体を引きはがすと、乱れたブラウスを握りしめながら。


瞬時にカラダを起こして丸めた。


「……え!?」


戸惑う男の顔。


ピタッと動きが止まった瞬間。


「湊兄(みなにい)!!何やっているんだよ!?」


バンッ!!って、勢いよくリビングのドアが開いたと同時くらいに。


血相を変えた黒崎が飛び込んできた。


「はっ!?」


私と黒崎の顔を交互に見ながら、何が起こっているのか必死に考えている。

< 56 / 69 >

この作品をシェア

pagetop