人生はドラマである
ママの身辺に纏わりつく男が三人。
一人は、会社の上司、一条司。
ママの仕事はインテリアデザイナーだ。
彼は、ママが結婚前に勤めていた建築事務所のオーナー兼建築士なのだ。
ママの再就職を快く引き受けてくれたのは、単にママのでざいなーとしての能力を評価してのことなのか?
それとも、男としての下心があったからなのか?
だって、彼は残業で遅くなった夜、必ずママを家まで送ってくる。
二人目は、何故かパイロットの結城雅也。
ママが出張の時に乗った飛行機のパイロットだ。
たまたまママの乗ったその便が乱気流に巻き込まれ、あわや墜落かと思われた危機をみごと立て直して救ってくれた。
シートベルトを締め忘れた乗客の何人かが軽い怪我をして、着陸後デッキに謝罪に出た彼とママが運悪く遭遇した。
ま、所謂彼の一目惚れ。
強引な彼の押しに抗えず、連絡先を教えたのが運のつき。
それから休みの日になるとママにお誘いがかかる。
こいつはかなりのイケメン。要注意。
三人目は、亡きパパの友人、佐藤要。
どうってことないサラリーマン。
パパの亡きあと、ママの悩みや相談ごとに親身になって乗ってくれた恩人だ。
月命日のお墓参りには必ず彼の姿がある。
そして彼の給料日。
どうやら二人はデートをしているらしい。
ささやかなケーキを手に「ツバサァ~、おみやげだぞぉ」と、玄関で僕を呼ぶ声は憎めない。