人生はドラマである


「孝幸さん、わたし結婚することにしました。相手は結城雅也さんって言って、パイロット。

出張先で知り合ったの。

わたしのことを凄く愛してくれていて、とても素敵な人です。

少し、あなたに似てるかな?

喜んでくれるよね?」


「ママ?」


突然の結婚報告に、僕は驚いた振りをした。


「ツバちゃんも、きっと雅也さんのこと、好きになると思うよ」


そのあまりに勝手発言に、僕は思わず口走ってしまった。


「ママは僕より結城さんが好きなんだっ!?」

「そ、そんなこと……」


狼狽えるママに、僕は追い打ちをかける。


「僕がおとなになったら、ママをお嫁さんにするのにっ!

パパのかわりに僕がママを守るって、決めてたのにっ!」


「ツバちゃん……」


ぎゅぅっと抱きしめられて、ママの返事は聞けなかったけど、ママの愛情は痛いほど伝わってきた。


――まぁ、ある意味僕の理想に一番近いのが彼であることに間違いないし……


だけど、僕にはきっちり確かめておかなくてはならない大事なことがあったのだ。
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