人生はドラマである
してやられた?

姉貴が突然家に舞い戻ってきて、俺の生活はにわかに慌ただしくなった。

翼を保育園に連れて行かなきゃならねぇから朝も早くから家に居ないし、夕方も迎えに行かなきゃならねぇし。

帰ったら風呂入れて食べさせて寝かさなきゃなんねぇ。

昼間は当然、仕事もあるし。

姉貴が帰って来るころには、俺はもうぐったりで翼と一緒に寝てることが多くなった。

なんで俺がこんな仕打ちに耐えてるかって?!

そりゃぁ、仕方ねぇだろぉ

物心ついた時から母親代わりで育ててくれた姉上様のたっての頼みとあっては断れねぇだろぉ

旦那が死んで暫くの間は、姉貴一人で頑張ってたんだ。

それでも俺を頼って帰ってきたってことは、のっぴきならない状況にあるってことだろ。

まぁ、二三年の辛抱だ。

このガキだって、小学校に上がれば少しは人間らしくなるだろうさ。



あまりの忙しさに、俺は大事なことを忘れていたんだ。


そう……、ゆかりのことを。
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