人生はドラマである
ゆかりと俺は、友達以上恋人未満のゆるい関係だった。
馴れ初めは一年ほど前。
行きつけの喫茶「オアシス」のカウンターでたまたま隣り同士になった。
目の前に差し出されたのが偶然にも、同じフレンチトーストとカフェオレなんつぅ甘党メニューで。
気恥ずかしくて固まった俺に、
「ここのフレンチトースト絶品ですよね、わたしは更にこれに蜂蜜をたっぷりかけて食べるのが好きなんです」
って、笑いながら話しかけてくれたのがゆかりだった。
それから、「オアシス」に行くたび、ゆかりが居ないか店内を見渡すようになった。
彼女の姿を見つけると、すかさず隣りに座って話しかけた。
ゆかりもまんざらでもなさそうだった。
お互いのことを少しずつ話して、新しい発見をするたびに二人の距離は縮まっていった。
約束をしたわけじゃないけど、週に三回は会っていた。
まさに恋人一歩手前の大事な時期だったのだ。