龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】

「あの馬鹿、自分もろとも封印してしまったんだ」

要さんが苦々しく言う。


「悟くん、どのお兄さんでもいいから電話してって言ってた。必ず助けてくれるって信じてるんだわ」


要さんは苛立ったように岩を蹴って、

「くそ生意気なくせに、こんな時だけ弟面すんなよ!」

って怒った。


きっと、悟くんを助けられない自分が歯がゆいんだ。


「志鶴、君の髪をくれ」

圭吾さんが言った。


「わたしの髪で効き目あるの?」

羽竜の血筋の彩名さんの方がよくない?


「君のがいいんだよ」


そう?


「要、ハサミを持ってるだろう?」


「どうしてお前達一般市民は、お巡りが何でも持ってると思うんだよ」

要さんはため息混じりに言った。

「右側のポケットにマルチツールが入っている」


圭吾さんは要さんのズボンのポケットを探って、細長い四角の金属の塊を取り出した。

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