愛を叫んで地に堕ちて〈全イラスト41枚つき恋愛ホラー〉
「ふん! 別に海野君が、初めてってわけじゃないし!
 なにも、アンタが泣きそうな顔にならなくてもいいじゃない!」

「でも……亜里沙……先輩」
 
「そんなに大変なことじゃないから!
 今更先輩呼ばわりなんて、されたくないわよ!
 アンタも含めて、男なんて、全員嫌い!
 おかげで、立派に男性不信よね!
 草薙君! いいわね?
 これで、アンタが真珠を泣かせたら、あたし、絶対許さないんだから!」

 そう言って、亜里沙は足音荒く去って行ったけれども。

 話を聞いて、勇斗は、おとなしく、合宿所で真珠の帰りを待っている気になんてならなかった。

 いくら、二人だけで、図書館に出かけたわけじゃない、と言われても。

 二人きりになれるチャンスなど、作ってやろうと思えば、どうとでも作れる。

 しかも。

 こんな風に、もたついているうちに。

 最愛のはずの真珠を横からさらわれて行った覚えが、ある。

 それは、この世の記憶ではなく。

 ずっと昔の有り得ないほど過去の話だ。
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