愛を叫んで地に堕ちて〈全イラスト41枚つき恋愛ホラー〉
 山田の立派過ぎる体躯(ガタイ)では、勇斗が正面突破で、別荘を出て行くことは、難しく。

 彼は勇斗と年が近い上に賢いため、先を読まれてしまい。

 山田の裏をついて、こっそり出て行くわけにも行かなかった。

 しかも。

 真珠の携帯に、何回電話をかけても、繋がらない所が、勇斗の不安を煽った。

 真珠の行った場所は、図書館だった。

 多分、周りのヒトビトに、迷惑をかけないために、携帯の電源を切っているだけなんだ。

 そう、理性では理解しているのに。

 感情がついて行かなかった。

 だから、勇斗は、人が入って来たら、すぐに判るはずの別荘の屋上で、待つことに決めたのだ。

 最愛の真珠の帰りを。

 まるで、飼い主に置いて行かれた子犬のような、瞳で。

 夕食のハンバーグを後回しにして。


 焦りと。

 苛立ちと。

 醜い嫉妬心と。

 そんなモノを抱えたまま、勇斗は、屋上のフェンスにもたれかかったまま、大分待ったのに。

 真珠や凪達は、なかなか帰って来なかった。

< 53 / 90 >

この作品をシェア

pagetop