愛を叫んで地に堕ちて〈全イラスト41枚つき恋愛ホラー〉
 そして、なにより昨日の夜。

 図書館から返った自分に、勇斗は心から謝った。

 いつも偉そうにしている『俺様』の勇斗が、ちゃんと頭を下げて。

 だから、真珠は許したんだ。

 にっこり笑って、なんてのは、さすがに無理だったけれど。

 あんなことをされても、勇斗のことが好きだったから。

 この合宿が終わったら。

 値段よりも、ずっと美味しいことが有名で。

 長い時間、延々と並ばないと、絶対食べられない。

 個数限定のロールケーキを、勇斗に買って来て貰う約束で。

 それは。

 俺様で、堪(こら)え性の無い勇斗のことだから。

 ヘタにののしったり、怒ったりするよりも。

 また、真珠が平手打ちで、勇斗の顔を殴るよりも、反省の効果があるに違いない。

 そんな具合だったから。

 とりあえず、勇斗は真珠に気兼ねなく、他の演劇部員に顔向けも出来るはずだったのに。

 勇斗は、時間になっても、稽古(けいこ)に出て来なかった。

 別荘に居る気配が無く。

 真珠が皆から離れてこっそり、勇斗の携帯にかけても、彼は出なかった。

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